トークン発行や海外法人の検討よりも、どんな課題を解決するプロダクトを作るのかという方が重要【LIFE-SIZED】
Skyland Ventuers(SV)の大越です。今回は等身大の起業家をインタビューをしていく企画「LIFE-SIZED」の記事です。
スタートアップ起業家へ”起業家が起業を決意した理由”などをインタビューし、起業までの歩みを深掘っていきます。
起業に飛び込む勇気がない‥‥
具体的にどのように飛び込んだらいいのか‥‥
飛び込んだ後はどんな日常が待っているのか‥‥
このような疑問をもっているような人たちに向けて、何かのきっかけや参考になればうれしいです。
今回は、VESSというワークアイデンティティ(仕事に関するアイデンティティ)を個人がデータ主権を表現できるプロダクトを提供しているVESS Labs, Inc.代表のKantaroさんのインタビューです。
この投稿は要約記事です。全文を見たい場合はこちらから。
20代の起業は再起ができる
新卒で会社に所属し、その後1年でエンジニアに転身、2021年10月に28歳で独立。新卒で入社した会社は総合商社の伊藤忠商事で在籍は短く1年で退社。
希望の配属とは違った部署になったこと、いつまでその部署にいるのか、もっとビジネスにかかわりたい、という想いから転職する決意。
2社目はナビタイムジャパン。結局6年ほど在籍し、2021年10月に独立。
なんとなく27歳までには独立したいと決めていた。20代での起業は最悪何かあったとしてもまだ全然再チャレンジできるという考えもあった。
最初の事業はスタート前に撤退。そしてクリプト領域に
最初はフリーランスの会計をオンラインで支援するサービスを税理士の友達と一緒に立ち上げようとしていた。
ただそれは早々に日本だと全然流行らないというのがインタビューなどを通してわかった。
日本だとfreeeやマネーフォワードが存在しており対応範囲が充実しており、フリーランスは法律的にも守られてるため、会計周りについては想像以上にペインを抱えていませんでした。
新しい事業アイディアに悶々としているとき、ブロックチェーンの技術を使ってDAOやフリーランスの人が使えるようなエスクロー型のジョブマーケットサービスなんてどうだろう?と考えていた。クリプトで何か作ってみようとなったのがきっかけでVESSが始まった。
”web3だから”という理由で複雑に考えすぎているのでは?
VESSの事業アイデアが固まり、すぐにプレシードの資金調達を開始。ほっとくと、2022年の秋ぐらいにはキャッシュアウトするということがあったため、早めに動いていた。
資金調達をしたことで心境の変化は?
めちゃくちゃあった。会社を作ったときは1人法人で自己資金で始めたため、失敗してもそれは自分に返って来るだけ。資金調達したことで、私個人に対して投資してもらってるという感覚はとても大きく、より大きな責任感、使命感を感じるようになった。
シードでの資金調達はプロダクトや数字に投資するというよりは、人に投資してもらった感覚がやっぱりすごかった。
web3事業をやろうと思うと、どこに会社を設立するのか、資金調達をそもそもするのか、など悩んでる人たちが多い印象なんですが?
多分ビジネスモデルによると思う。例えばDeFiのように直接的にトークンが絡むビジネスは確かに会社設立の場所は悩むかもしれない。
一方で、現時点でのVESSはトークンを内包したプロジェクトではなく、ブロックチェーンやDIDを活用しているが、トークン周りで話題となるような法規制の観点は、あまり問題にならない。
まずはトークン以外の部分でユーザーにバリューを出せるようなプロダクトを作ることが先決だと思っている。
将来的にもしトークンを発行するにしても、プロダクト単体でのバリューを提供できていなかったりトークノミクスの設計がしっかりとしていなければ、結局上手くいかないと思う。
web3でビジネスをするからと難しく考えてしまいますが、まずはどんな課題を解決するプロダクト・サービスを作るのかという方が重要だと思う。その中でトークン発行や海外法人が必要そうであれば検討するのが良いのではないか。
1億人以上が当たり前に使うワークアイデンティティの社会実装
2022年から少しずつですがDID周りの話が増えてきた。盛り上がり始めている一方で具体的なユースケースが少なく、学歴証明やPoCみたいなところに留まっている。
僕らとしての最終的なゴールは、ワークアイデンティティ=「自分の職歴」をクレデンシャルとして自分で所有するという新しいHRの形を社会実装すること。
社会実装までには長い時間がかかるかもしれませんが、今後1億人がクレデンシャルを使い、web3領域の中で採用活動するのが当たり前になるところまで持っていきたい。
まとめ
Kantaroさんのインタビューいかがでしょうか?
”web3だから”という理由で会社設立や資金調達方法について複雑に考えすぎているのでは、という話は実践者のコメントとしてとても勉強になりました。
これからも等身大の起業家へインタビューする企画「LIFE-SIZED」で、いろいろな起業家にインタビューをしていきますのでお楽しみに。


